Jakob×Architect

Jakobによって広がる
空間の可能性。

建築家 玉上 貴人
/ 建築物 ESR 久喜(物流施設内)託児所
Jakob > About > タカトタマガミデザイン株式会社 主宰 代表取締役・建築家 玉上貴人 インタビュー
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Philosophy 建築に対する哲学・世界観

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人の感情や衝動が解放される、
真の心地よさを感じられる空間。

住宅や商業施設、オフィス、学校の校舎等といった教育施設、医療施設、少し珍しいところでいうと水上バスの内装などを手がけてきました。建物の大小や用途にかかわらず、様々な空間を手がける中でこだわってきたことは、人の感情を喚起する、人の衝動を突き動かすような空間をつくることです。たとえば、子どもは丘を見れば、自然と走り出したくなる。狭いところや穴を見つければ、なぜか入りたくなる。そういった衝動が、大人にもあると思うのですが、本来人が持つ本能や衝動が解放されるような、そんな空間創りを目指しています。

最近、物流施設の中の休憩スペースを多く手掛けています。巨大な物流施設の中で、本当に人が心休まる空間というのはどういうものなのかということについて考えた時に、一般的に、休憩スペースは天井が高くて広々とした明るい空間が良いとされるのかもしれません。ですが、巨大な物流施設の中で、あるいは閑散とした工業地帯で働く人が本当に落ち着くことができる場所というのはどういう空間なのかを考えてみると、実は、小さくてもパーソナルスペースを確保できるような空間の方が、心安らぐのではないか。そんな風に、用途や目的に応じて真の心地よさを感じてもらえるような空間、その中に入ってみたい、あの中に入ったら落ち着きそうだとおのずと感じさせることができるような空間づくりを大事にしています。

02 ESR 久喜(物流施設内)DC 施設外観 PhotoⒸ吉村昌也 ESR 久喜(物流施設内)DC 託児所(BARNKLÜBB kids club)外観
PhotoⒸ吉村昌也
ESR 久喜(物流施設内)DC 託児所(BARNKLÜBB kids club)内観
PhotoⒸ吉村昌也

Work Jakobの使用事例

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存在感が固定されないからこそ
それぞれの建築に
ほどよく馴染む。

空間自体が統一感を持った概念でてきていることが、人の感覚に訴える、感性に訴えるという意味では重要です。たとえば一つの物体を、ねじったり、変形させることによって人が中に入ることができるスペースを作り、穴をあけることで光を採り入れる。単一なマテリアルにほんの少し形態操作を加えることによって空間を生み出す、という発想を建築に採り入れています。そうすることで、不必要な要素がそぎ落とされた、情報が整理されたまとまりのある空間を創ることが可能です。

こういった考え方で建築を行う中で、Jakobは非常に良い役割を果たしてくれます。
はじめてJakobに出会ったのは2011年。ある住宅の施工を行っている時に、施工会社から、いい製品があると提案を受けたのがきっかけでした。シンプルで部材の接合が目立たずディテールが秀逸で、他のマテリアルにはないよさがあると感じました。この時はじめて階段の手すりにワイヤシステムを使用し、以降10年以上様々な建築で使わせていただいています。
最近よく使わせていただいている製品はウェブネットです。非常に柔らかくて細いマテリアルによって構成されているため、印象が硬くなりません。見え方も少し変わっていて、伝統的な干網柄のような、モロッコタイルのような、文様に似た見え方をします。存在を主張し過ぎない一方で、見方によっては独特の印象を与えることができるので、それぞれの建築の世界観にうまく馴染んでくれるというのは、Jakobにしかない特長だと思います。

託児所の階段のスロープにウェブネットを使用したことがあるのですが、一般的な金網と呼ばれているような製品だと、重い印象を与えてしまうというだけでなく、それ自体が硬く、指で触ると手が切れてしまう危険もあります。一方でJakobのウェブネットは線が柔らかく、子どもたちが握っても安全であるという点も託児所という用途に適していました。
手すりによっても色々な用途の手すりがあると思うのですが、我々がJakobを採用する手すりの多くは、椅子に座って休憩をする場所の近く、景色がいい場所の転落防止のために設置するものだったりします。手すりの高さというのは、法律的にも1.1m以上の高さがなければいけないという規定があるのですが、それはちょうど目線を邪魔する高さになります。つまり、手すりの向こうに広がる素晴らしい景色を見ようとすると、手すりが視界に入ってしまう。それに、手すりには転落を防止するための面を設置しなければなりません。

ESR 久喜(物流施設内)DC 託児所(BARNKLÜBB kids club)内観
PhotoⒸ吉村昌也

視界を邪魔しないよう、面の透明感を出すために、ガラスを使おうという話になるのですが、ガラスの場合、風圧や衝撃に耐えるために強度を持たせなければならないため、コストが高くなってしまいます。また、ガラスは一見透明に見えますが、ものが映り込んだり照明の光が反射するために、強い存在感を放ってしまいます。ガラスが必ずしも透明で、景色を邪魔しないかというと、そうではない。そういう時に、メッシュは非常に有効です。中でもウェブネットは網の大きさをコントロールすることができるので、透明感が出しやすく、視界を邪魔しにくい。見る角度によって現れる存在感は、文様のような表情によって、一つのデザインとして建築にうまく馴染んでくれるのです。存在感が固定されないからこそ、様々な用途・様々な場所に程よく馴染む。これこそが私がJakobを採用し続ける理由です。

03 ESR 久喜(物流施設内)DC 託児所(BARNKLÜBB kids club)内観PhotoⒸ吉村昌也

Vision Jakobを通じて見据えているビジョン・広がる可能性

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固定概念を覆す、
新たな発想を
喚起してくれる存在。

今後も物流施設内のレクリエーションスペースの手すり等をはじめ、複数の案件でウェブネットを採用させていただく計画ですが、たとえば床から天井までウェブネットを使えば、手すりがないように見せることも可能ですし、そうすることによって建物の中に鳥が入ってきてしまうといった被害も防ぐことができる。ウェブネットをうまく使えば、「手すり」という概念に捉われない、新しい機能や役割を果たすものを生み出すことができるでしょう。

また、これまでは、部分的な「手すり」という部分的なものにウェブネットを使うことが多かったのですが、ワイヤで作られているという丈夫さを活かし、「人を支える」という総合的な使い方もできると考えています。たとえばトランポリンのような、遊具のようなものに使うこともできるでしょうし、メッシュ状のものを何枚も重ね、粗密をつくることで起こるモアレ現象を活用しても何か面白いことができるのではないかと思います。建築だけでなく、インテリアに使うことで今までにない斬新なデザインを生み出すこともできるのではないでしょうか。たとえば鳥かごや椅子の座面、ハンモックとしても使うことができると思います。
私が一番好きな建築物は、代々木体育館なのですが、代々木体育館の屋根は2本のワイヤをはり、そこに屋根を架けるという吊り構造によってあの形が保たれています。歴史に残る、あの代々木体育館を超えるような構造表現にもいつか挑戦してみたいですね。
Jakobという製品の存在は、今までにない新たな発想を喚起してくれるものであり、モチベーションを高めてくれるものであると感じています。

タカトタマガミデザイン株式会社 主宰 代表取締役・建築家 玉上貴人

1973年横浜生まれ。1996年、明治大学理工学部建築学科卒業。設計会社に勤務した後、ヨーロッパ12カ国周遊の旅に出る。2000年、タカトタマガミデザインを創業。
JCDデザインアワード、AICA施工例コンテスト、SMOKER’S STYLE COMPETITION 最優秀賞、日本空間デザイン賞2019 銀賞 等受賞多数

採用されたJakob製品

  • ウェブネット:1.5mm
  • メッシュ開口:40mm
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